沸騰都市 東京:TOKYOモンスター

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東京は23区39市町村がある。

東京の2008年の人口は1290万人、今年2009年は1300万人を超えると言われている。東京は日本で数少ない人口増加都市となっている。

高層ビルの数は1997年には70棟だったが、2007年には217棟にも増えている。

さらに、地下の開発も進んでおり、建設中の首都高速道路の山手トンネルは世界で2番目に長い道路トンネルとなる。

東京を空から見ると、建物と道路で覆い尽くされ、余地がないことがよく分かる。

しかし、膨張をやめることができない東京はいま、新たな開発の場を見つけた。

目黒区大橋の地下36メートルでは、首都高速道路「山手トンネル」建設工事が進められていた。

全長20.4kmと世界で2番目に長いトンネルだ。

現在、池袋と渋谷まではほぼ貫通。まもなく品川までの工事が始まる。

トンネルの最先端部分には、シールドマシンと呼ばれる直径13メートルの巨大な掘削機がある。

その掘削機の先端には、ダイアモンドの次に固いタングスタン製の刃が並んでいる。

この刃を回転させながら、巨大なモグラのように1日13メートル、地中を掘り進んでいる。

山手トンネルの完成は4年後。池袋、新宿、渋谷、品川をつなぐ。巨大ターミナル間の輸送時間を一気に短縮する。


東京の休みない活動の結果、増大したライフラインも、もう地上には収めきれなくなってきている。

地下47メートル、虎ノ門と有楽町1.5kmを結ぶ「日比谷共同溝」の工事が進んでいる。

電気、ガス、上下水道、電話線、光ファイバー。すべてのライフラインを分厚い30cmのコンクリートの外壁の中に収める。

地上には警視庁、財務省などの日本の中枢機関が集中している。巨大地震からライフラインを守る鉄壁の備えを作ろうとしている。


本来なら地上でしかできないと思われていた作業も地下で始まっている。

オフィスビルの地下2階では、発光ダイオードの光で植物が育てられていた。

赤々と育ったトマト。水と栄養分を溶かした溶液だけで栽培されている。

地上に比べて、早く大きく育つ。

将来、地球温暖化による天候異変が起きても、ここには関係ない。人材派遣会社の未来を見すえた取り組み。


春日部市のグランドの脇にある何の変哲もない作業小屋には、下へ続く階段がある。

階段を降りていくと、まるでパルテノン神殿を思わせる巨大地下空間が広がっている。

高さ25メートルのコンクリートの柱59本が天井を支えている。

地下に作られた人口の川「首都圏外郭放水路」だ。

大雨が降り、近隣の河川が氾濫の危険にみまわれた時に、水を地下へと取り込むための水路。

水を集める竪穴の深さは70メートル、直径は30メートル。

最近、首都圏で大規模水害がほとんど起こっていないのは、地下が地上の危険を引き受けているから。


開発の場を地下に求めていった東京。しかし、その地下もしだいに混雑の度合いを深めている。

首都高速の山手トンネル工事の前に立ちはだかったのは、毛細血管のように入り組んだ交通網だった。

山手トンネルが池袋をスタートして、最初に現れるのは地下鉄有楽町線。これを上によける。

次に、西武池袋線の下をくぐる。

すると、都営大江戸線が右側から現れる。やっかいなのは、しばらく都営大江戸線と同じルートを進むこと。加工の幅が狭まる。

その後、西武新宿線、東西線、地下にもぐった中央線を交わす。

そして、最大の難所は丸ノ内線の中野坂上駅。山手トンネルは丸ノ内線と大江戸線の隙間をくぐり抜けなくてはならない。その間隔はわずか2メートル(丸ノ内線)と5メートル(大江戸線)。

難所を越えると、今度は地下化された神田川の下をくぐる。ここで、大江戸線が左にそれる。

その後、京王線、東京メトロ千代田線、京王井の頭線の下をくぐり、最後に東急田園都市線の下を通って渋谷に到着。

池袋 ー 渋谷間の11kmを、11の路線と2つの地下河川の隙間をぬって走る山手トンネル。東京は世界に類を見ない地下世界を作り出した。


膨れあがる東京が、最初に手足を伸ばした場所は海だった。

東京湾にせり出した埋め立て地。

自らの旺盛な活動から出たゴミを土に混ぜて、広大な土地を作り上げた。

「夢の島」など、昭和30年代に本格化した埋め立てから約50年。

その面積は5730ヘクタール。東京23区の10分の1弱を占めている。

これ以上、埋め立てを進めていくと舟の航路が確保できなくなってしまうので、「新海面処分場」が最後の埋め立て地となる。


東京の膨張のエネルギーが向かっている先が空。

10年前、30階を超える高層ビルは70棟だったが、今は217棟もある。

膨張を押さえ込んでいた容積率の規制が緩和され、エネルギーが解き放たれた。

23区内の容積率規制の平均は250%だが、場所によっては1600%を超えるビルも出現している。


東京の膨張は、各地に劇的な新陳代謝をもたらしている。

江東区では26年ぶりに小学校が新設された。豊洲北小学校。

埋め立て地である豊洲には、もともと巨大造船所があったが、高層マンション群に生まれ変わった。

豊洲北小学校の児童数は516人。全員が高層マンションに暮らす子供たち。

マンション建設ラッシュは今も続き、増加の勢いは止まらない。

豊洲北小学校校長が頭を悩ませているのは、教室の確保。

6年後には全校生徒は今の3倍。1500人を超える予定。

校長は次のように語る。

「僕らが教員になった頃は1000人を超える学校はけっこうあったんですよ。今は都内ではまずないでしょ。珍しいですよ。とてつもなく珍しい。」

子供達が暮らす高層マンションの平均価格は5000万円。ほとんどの親が都心に通うホワイトカラー。教育熱心で子供の学力は全国でもトップレベル。


東京の開発を突き動かしているのは、日本中、世界中から集まるヒト・モノ・カネ。

日本の人口増加数の伸びはほぼ止まっているが、この5年は首都圏と自動車産業が好調だった愛知県は人口増加が際だっている。

東京の人口は87年から減り続けていたが、94年に再び増加に転じた。

少子化が改善されたわけではなく、企業の東京移転と外資系企業の進出が原因だ。外資系企業の75%が東京を活動の場に選んでいる。

日本全体のGDPは516兆円で世界2位。東京だけでその5分の1を稼ぎ出している。ロシアやブラジルの国全体のGDPに匹敵する富。

早稲田大学の伊藤滋教授は次のように語る。

「人口を集めるということは、そこに元気な人が集まり、知恵が動きますから、カネが集まりますよね。カネが集まって生活のスタイルが変わり、少し生活のゆとりが大きくなり、企業も成長しますから、するとモノが必要になりますよね。だから、人が集まり、カネが生み出し、カネはモノを要求し。僕は東京は生物体のような感じがする。色々な細胞が集まって、お互いがあまりお互いを意識しないんだけど、東京という1つのトータルな形を作って、あまり羽目を外さない。だけど、ここで成長する時はある部分が急に突出するとかね。」


今、東京では100を超える開発プロジェクトが進行中。

グローバル化が進み、世界への窓口として東京の役割が増している。

東京の効率を高めるための改造計画がはじまった。

千代田区丸の内は日本を代表する企業が本社を構える超一等地。まさに世界と直結している街。

この街の開発を担っているのが、不動産開発会社「三菱地所」。

丸の内にあるビル100棟のうち、3分の1が三菱地所の所有。明治時代、三菱財閥が政府から土地の払い下げを受けたのが始まり。

今、三菱地所では高度成長期のビルを建て替え、最新鋭の情報インフラ、巨大スペースなどを備えた超インテリジェントビルに改造している。

オフィス賃料は1坪当たり最高月8万円。相場の4倍。それでも空室率は1%を切るほどの人気。

三菱地所の木村社長は次のように語る。

「結局、丸の内がある程度これまでも牽引していたんですね、日本のオフィスマーケットをですね。そういった意味では、今でもこの家賃のレベルは日本でも一番高いところになるんじゃないかと思うんですよね。」


日本の超一流企業と並んで、いま、丸の内の主役となっているのは外資系企業。

90年代のバブル崩壊で丸の内から去った日本企業に変わって、外資系企業がオフィスを構えている。

外資系企業にとって、丸の内の魅力はその狭さ。わずか1.2へーホーキロメートルの中に日本の超一流企業76社が集結している。

ほとんどの商談がこの街の中でことたりる。効率性を極めた巨大企業の密集地帯となっている。

JPモルガン証券のグレゴリー・ガイエット社長は次のように語る。

「ビジネスの場として東京のインフラは文句のつけ所がありません。たいへん機能的な街であり、移動もとても簡単です。外資系企業で仕事をしたいと考える高い教育を受けた人々も多いのです。」


三菱地所では、金融危機後の世界経済の主役交代を見すえて準備に入っている。

三菱地所がいま全面的にバックアップしているのは、日本進出を狙っているインド企業相手のコンサルタント会社「サンアンドサンズ」。

三菱地所の狙いは、「サンアンドサンズ」が東京に呼び込むインド企業をテナントに獲得すること。

「サンアンドサンズ」の社長は次のように語る。

「いろんな業界のいろんな大企業が、こんな小さいところの中に存在しているので、いろんなビジネスを簡単に効率的にできることが、東京のおおきな魅力だと思います。」

三菱地所が丸の内で目指しているのは、世界の選りすぐりの企業が集まる無国籍ビジネス都市。40年で所有する30軒のビルすべてが建て変わる。

三菱地所の木村社長は次のように語る。

「今、シンガポールとか上海とかありますけど、そういう所と競争しているわけですけど。そこで負けてしまっていわゆる世界の企業がたとえばアジアの拠点はシンガポールだよと、香港だよと言われると、日本はへたすると極東の単なるローカルシティになっちゃう。その危機感が非常にあるわけですね。」


六本木ヒルズの高さは238メートルの超高層ビル。

この高層ビルを作ったのは社長の森稔(もりみのる)さん率いる森ビル。

新興デベロッパー「森ビル」は、港区を集中的に開発。盛り場のイメージが強かったこの場所を、丸の内に対抗するビジネス街に作り替えようとしている。

六本木ヒルズをはじめ、規制緩和を追い風に、巨大ビルを次々と開発してきた。

森稔さんは次のように語る。

「本来はもう少し高いタワーを建てたいわけだ。東京タワーくらいの高さ。もうちょっと高くたっていいんじゃないか。たとえば、高層ビルが沢山できてきたら、ビル群を結ぶロープウェイだって当たり前になるかもしれませんよ。またそれも面白いじゃないですか。」

森社長は、日本が世界で生き残っていくためには、東京の効率性を高めるしかないと考えている。その切り札が、東京の高層化。生まれたスペースに日本全体に広がる人口と機能を収めることができる。

東京の可能性をさらに上げるために、森社長が無限の可能性を見出しているのが地下。

太陽の光がかえって邪魔になる劇場や会議室、ディーリングルームなど、すべて地下へ収めるという計画。地下こそ東京のフロンティアだと考えている。

森社長は次のように語る。

「何にもしなくても土地が上がっている時には、みんな、もう満足していますからね。今は地価を含めて非常の下降はじめていまして、どこまでいくか、皆、非常に不安に思っていますよ。良いチャンスだと。完全に東京を作り替えるモデル都市にする良いチャンスだと考えたらいいんじゃないか。」


六本木だけでなく、東京各地で超効率都市を目指す改造計画が進行中だ。

2012年、墨田区押上に高さ610メートル、世界一の高さを誇るタワー「東京スカイツリー」が出現する。東京タワーに変わる新しい電波塔になる。デジタル放送の送信、ワンセグのエリア拡大、世界最強の情報インフラの構築が期待されている。そして、東京タワーは電波塔としての大きな役割を終える。

若者の街、渋谷も変わる。

2012年、JR・私鉄・地下鉄と複雑に入り組んだ駅を再配置して、高層の駅ビルが現れる。巨大ターミナルの大混雑を一挙に解消する「渋谷駅前再整備計画」が本格化する予定。

2025年を目指してリニア新幹線の構想も進んでいる。最終的には東京と大阪を1時間で結ぶ計画だ。名古屋、大阪までも飲み込み、東京圏がさらに拡大しようとしている。


東京タワー周辺の港区で集中的に開発を続けてきた森ビルの森社長は、あらたな巨大開発に着手しようとしている。

今回の予定地も港区。六本木に隣接する虎ノ門5丁目。

2ヘクタールの敷地に46階建てのタワーを建設する。周辺は各国の大使館があつまり、国際色あふれる場所だか、ここだけまだ開発が手つかずで、木造の建物も残る古い住宅地。

金融危機後の今、本当に体力のある企業だけを呼び込み、丸の内をしのぐ世界最先端のビジネス街を目指す計画だ。着工は2009年秋から。

森社長は次のように語る。

「10年、20年すれば、すっかり新しいコンセプトの街に変わっていると。レベルの高いグローバルプレーヤーのためのものを作らないと。」

森社長は成田空港と六本木を結ぶ、ヘリコプター送迎ビジネスを検討している。車で2時間以上かかることもある移動が、わずか20分に短縮できる。


国際線のパイロットは、世界で最も美しい夜景はニューヨークでも香港でもなく、東京を挙げると言う。


【感想】

東京は高層ビルによる空だけなくて、地下も開発しているんですね。

この番組では、東京を1つの生き物のように擬人化していましたが、まさに成長する生き物のようでした。

しかし、過度な成長が東京という生き物の生態や性格を変な方向に導かないことを祈るばかりです。

そして、そこに住む一般人からしてみると、祈ることしかできないとところがポイントだと思います。

誰の意思で東京は上にも下にも膨張しているのか?

世界で取り残されないためには、効率化を狙った膨張しかないのか?

そもそも、世界と競争すること自体がどうなのか?

そんな風に感じました。

効率化は必ず何かを失います。古いものを新しいものに変えていくということは、今まであったものを失うということです。

とりえあず、近いうちに虎ノ門5丁目に行って、古くからある町並みの写真でも撮りたいですね。

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