道具を使うサル「フサオマキザル」
(2008-07-28)




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ブラジル中央のボアビスタは、首都ブラジリアから1000キロ以上離れている場所。

そこに生息するサル「フサオマキザル」は石を運ぶために直立歩行し、その石で固いヤシの実を割って、エサを得ている。

フサオマキザルは頭からお尻まで40cmほど。

それまで、石を使うのは人とチンパンジーだけと考えられていた。

人間とチンパンジーが別れたのは約700万年前。そして、サルと人間が別れたは3500万年前。

我々人類の大きな特徴である直立2足歩行。しかし、それがどのように始まったのかは謎に包まれてきた。人類進化の謎。

道具を使うフサオマキザルの行動は、その起源を探るヒントを与えてくれるかもしれない。

2004年12月、世界的な科学雑誌「AMERICAN JOURNAL OF PRIMATOLOGY」で、南米のある場所に住むサルが石を使って椰子の実を割るという論文が発表され世界が驚いた。

取材班がフサオマキザルの住んでいる場所に近づくと、ボスが崖から石を落として威嚇する。その姿はまるで人間のよう。

椰子の実は殻が固く、木にたたきつけるくらいでは割れない。

椰子の実と地面に転がっている石を両手で持ち、2足歩行しながら地面に横たわっている大木の所までいき、椰子の実を大木の上に置き、両手で石を持ち上げて、椰子の実に向かって振り落とし、椰子の実の固い殻を割ろうとする。

これこそが、世界が驚いた石を道具に使うフサオマキザルの行動。

この姿はまるで人間のよう。

椰子の実が割れると、木の上に登り椰子の実の中のナッツを食べる。

椰子の実の硬さはクルミの20倍以上。

ボスが椰子の実を割ると、別のサルもボスと同じように椰子の実を石を使って割り始める。

中には助走をつけて椰子の実を割ろうとするフサオマキザルもいる。

フサオマキザルが石を使って椰子の実を割る行動は、これまで普通のサルにはできないと考えられていたこと。

実を割るためには、実と台と石の3つを上手く使いこなされなければいけない。

2つではなく、3つのものを組み合わせるという行為は、高い知能が必要になる。

最近、他のサルでも報告されたが、フサオマキザルが発見されるまではチンパンジーにしかできないと考えられていた。

進化の歴史を紐解くと、人間とチンパンジーの祖先が別れたのは約700万年前とされている。一方、フサオマキザルはそれよりはるか昔、3500万年前に別れた。

知能が高いとされる類人類とは違う地域で、異なる進化を遂げてきたフサオマキザル。

そんな普通のサルが類人類と同じように高度なワザを使いこなしていることが、サルの常識を覆す大発見として世界の科学者が驚いた。

フサオマキザルの行動を観察しはじめた博士たちが、まず不思議に思ったのは、道具の石をどこから持ってきているのかということ。

固くて丸い石は森の中ではほとんど見つからないから。森の中では本当に珍しい石。

その石は椰子の実を割る場所から1キロほど離れた崖の頂上にたくさんあった。

フサオマキザルは、この石が椰子の実を割るのに都合がいいことに気づいたに違いない。

ボアビスタのフサオマキザルは、実と台と石の3つ道具を組み合わせるだけでなく、必要な道具を遠くから運ぶという知恵も持っていた。

フサオマキザルとは一体どんなサルなのか?

フサオマキザルは南米に住む約80種類のサルの中で最も広い範囲に暮らしている。

その多くはアマゾンの熱帯雨林に済んでいる。

主食は果物と木の実。地面に降りることはめったにない。

フサオマキザルは手先が器用で賢く、南米のチンパンジーと呼ばれるほど。

フサオマキザルを訓練して、人間の手助けをさせようという取り組みがアメリカで行われている。

身体の不自由な人を助ける介助ザル。

車椅子に座った人が、「電気を付けて」と言いながらスイッチに赤いライトを照らすとそのスイッチをオンにしたり、「手を持ち上げて」と言うと2本の腕を使って一生懸命に人間の片腕を上に持ち上げようとする。

冷蔵庫に赤いライトを照らしてい「オープン」と言うと、冷蔵庫を開け中のものを持ってきてくれたり。

タオルで顔を拭いてくれたり。

短い言葉と光で指示を出し、介助を教え込む。

一通りの作業ができるまでに4年ほどかかる。

アメリカではすでに100匹以上が介助ザルとして活躍している。

このように、訓練をすれば高い能力を発揮できることは前から知られていた。

しかし、南米ブラジルの乾燥地帯には誰に教わることもなく道具を使う群れが存在していた。

ボアビスタのフサオマキザルは生まれながらにして椰子の実を割れるわけでない。

一体、どのようにして身につけていくのか?

実は、フサオマキザルは子どもに食べ物を与えることをしない。

大人のフサオマキザルは、子どもに実をあげないどころか、実を割るワザを教えることもない。

子供は、大人が実を割るワザをじっくりと観察し、自分で覚えなければならない。技は教わるものではなく、見て盗むもの。

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